薬は患者さんにとっては病気を治したり、痛みを軽減させたりするものですが、疾患を抱えていないにもかかわらず薬を過剰に摂取する方がいます。それらはオーバードーズという名で世間でも認知されつつありますが、この行為に対して薬剤師に求められる役割とはどのようなものがあるのでしょうか。
オーバードーズとは、薬を必要以上に摂取する行為のことで、薬物乱用の一つとして挙げられるものです。主な使用者は10代から20代の若い世代で、比較的女性の方が多く、依存性があり身体への影響や死に至る恐れがあるため、様々なシーンで予防運動などの啓発活動が行われています。
オーバードーズが浸透している背景には若者の生きづらさなどが指摘されていますが、原因は個人によって異なるため、一人一人に向き合った対処が求められます。また、タバコの入手が困難になったことや、違法性のある薬物を使用するよりもハードルが低い、などの理由も存在し、ファッション感覚でオーバードーズをする方もいます。
SNSなどで情報発信されることもありますので、薬剤師の方はオーバードーズに関する投稿を見かけたら専門家の知見からメッセージを発する、などの対応を行ってみてはいかがでしょうか。
なお、オーバードーズは市販薬を使用するケースが多く、入手が簡単なことも若者の間で浸透する理由の一つとして挙げられます。そのため、薬局やドラッグストア、ネット販売などでは気軽に市販薬を購入することができますが、未成年や10代の若者が購入する場合は一度の購入で製品は一つだけ、という規制が設けられるようになりました。
オーバードーズに使用する市販薬は一般的な風邪薬や鼻炎薬、咳止めなどですが、それらに共通する薬の成分の内、過剰摂取をすると危険なものとして専門家が定めた6つの成分がありますので、ドラッグストアなどで勤務をしている方はそれらをしっかりと覚えて、その成分が配合されている製品を購入する方の態度や雰囲気などに注意を払うようにします。
気になるお客さんを見かけたら、勇気のいることですが、声をかけてみて話を伺うことも大切な業務です。
そして、オーバードーズを止める行動には、若者世代に対しての説明や講演などがありますので、教育施設などに勤務をしている方は生徒達にオーバードーズの危険性を伝えることができます。
小学生や中学生などでは個人の悩みからオーバードーズに手を出す、というよりもどんなものか、という興味で使用する方もいます。ですので、興味本位で手を出すことは危険であることや、極端な例えとなっても万が一薬の在庫が無くなってしまうと、本来治療に必要としている患者さんに適切に薬を提供できないことなどを丁寧に説明しましょう。
また、根底にある生きづらさに対応をしないと表面的な対処療法となりますので、カウンセリングの推奨やシェルターの利用、相談窓口の使い方なども含めた講演が求められます。
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